山崎屋 今月のお知らせ

(2003年8月1日更新)

◎お盆期間中は休まず営業致します。

◎今月のお休み
  4(月)、5(火)、11(月)、18(月)、19(火)、25(月)

◎不連続うなぎ小説C 「短い夏、そして...」

  去年の夏はまだ“じじい”が元気だった。
  焼魚は必ず表のまん中だけしか食べないような、食べ物
  にはぜいたくな“じじい”だった。
  ご飯が少しでもかたいと「何だこらぁ、ずい分こわいな」、
  健康を考え、ちょっとでも薄味にした漬物には、「味がねえや」
  としょうゆをぶっかけた。
  もっとも、私からすればそのどちらも全く問題のない、美味しい
  ものだったのだが……。
  そんな“じじい”が特にうるさかったのは、うなぎについてだった。
  ある年、お盆にいなかで食べたうな重は私が見てもほめられた
  ものではなかったが、“じじい”は「何だ、この干物は」と言って、
  一口も食べず、すべて残した。
  「うなぎは口の中でとろけないといけねえ」

  私がまだ大学生だった頃、高校生だった弟と2人で“じじい”を
  伊香保温泉に招待したことがある。
  充分にお金の無かった私たちは、それでも頑張って、一応「ホテル」
  と名のつくところに予約した。
  「ホテル」ではあったが、あのぜいたくじじいにしてみれば、それは
  たぶん貧相な所だったと思う。
  それでも、夕食で出てきた半分ひからびた料理を前に、今までに
  見たことのない柔らかな表情で、それはそれは楽しそうに私たちに
  昔話をしてくれた。

  今年、丑の日に食べたうなぎはとても美味しかった。
  あれならきっと“じじい”も満足したことだろう。
  面倒くさくて、うるさくて、思いっきり耳が遠かったけど、
  どうしてこんなにちょくちょく思い出すのだろう。

  8月、“じじい”のいない初めての夏だ。

      ━━━━━次回未定━━━━━



戻る